UV印刷トラブル問答

2.密着不良

No. 項目 方式・タイプ 現象・状況 解説 原因区分 対策
201 密着不良 全システム 原反、基材に対し、十分硬化しているUVインキが密着しない。 基本的にはインキタイプごとに密着性能に違いがあるので事前に密着性を確認する必要がある。また、インキ-原反間の密着性が微妙な場合は色によって異なる場合もある。さらに密着不良は冬場や原反のロットが古い場合に発生しやすい。→ 以上のように同一の印刷仕様でも密着しない場合があるので密着性については印刷時にも確認すること。 インキ選択ミス
原反選択ミス
印刷環境
原反経時変化
①密着するインキを選択する。②UVアンカーを使用する。③原反を変更する。④原反の前処理を施す。⑤原反、インキを暖める。⑥ロットの古い原反を使用しない。
202 密着不良 全システム 色インキのみでは密着するが、OPニス、コーターニスをかけると密着不良となり、色インキから剥がれる。→ 使用紙にも注意。キャストコート系のようなセット乾燥性の早い用紙で起こりやすい。 現象、原因としてはインキの盛り過ぎ、重ね刷り時と同じで硬化不良が原因。硬化不良(盛り過ぎ)の項を参照。→ 下地インキが墨インキの場合は特に起こりやすい。→ 胴間UVランプを使用していても下地インキを盛り過ぎた場合にはトラブルが発生するが、胴間UVランプが無い時のほうが圧倒的に起こりやすい。 硬化不良 ①硬化不良(盛り過ぎ)の項(№108)を参照。場合によっては下地インキを十分に乾かしてからニス掛けする。
203 密着不良 全システム 事前に密着を確認した印刷物をフィルム貼り加工、熱プレス加工した際に原反-インキ間での密着不良が発生した。 インキ-原反間で事前に確認していてもフィルム張り加工によって密着性が低下することがある。①加工時の熱でフィルムは伸縮するが、それにUV皮膜がついて行けず密着性が低下した。②確認試験に使用したテープの接着剤よりラミネート接着剤が強力な場合。 事前確認不足 ①必ず印刷物の使用状況を踏まえた上でインキ及び原反選択を実施すること。
204 密着不良 凸版
フレキソ
印刷機に付帯のコロナ処理器、フレーム処理器を使用しても密着性が安定しない。 インキ、原反及びUV硬化に問題がなければ、付帯する処理器の異常、調整不良が考えられる。 整備不良
機械調整不良
①処理器の整備、調整を行なう。
205 密着不良
(後胴取られ)
オフセット 胴間UV使用時に胴間UV前のインキ、アンカーが胴間UV後の後胴で取られる。特に白インキ印刷のときに問題が起こりやすい。 先刷りインキの硬化、密着が十分でないままに後胴で印刷されるために発生する。大抵の場合、胴間UVはランプ一本のみの場合が多く、光量が少ないために影響が出やすい。また、密着性が低下する冬場にも起こりやすい。 硬化不良
密着不良
①下地インキをコンクタイプや密着性の良いタイプに変更する。②2回刷りにして下刷りインキを十分に硬化させた後に印刷する。③原反のシーズニング。
206 密着不良
(上刷り不良)
全システム 刷り置きしたUVインキ印刷物上に上刷りしたUVインキが密着しない。また、過照射したUVインキ皮膜上に上刷りしたUVインキが密着しない。 過照射や経時硬化により、UVインキ皮膜表面が硬くなり、密着しづらい表面不活性なフィルム状態になってしまうため。※コーター、フレキソなどの低粘度タイプの場合には、弾きが発生することもある。 過剰硬化 ①置き刷りした印刷物上に印刷する場合は、密着性を再確認し、インキを再選択する。②UVアンカーを使用する際はアンカー印刷後、2~3日以内に上刷り印刷する。③凸版印刷などは胴間UVの本数を減らしたり、ランプ出力を調整する。
207 密着不良
(上刷り不良)
全システム アンカーや白インキが密着しているが、上刷りした色インキが密着しない。 高密着タイプのアンカーや白インキを先刷りしたのち、密着性能の低いUVインキを上刷り使用する場合、濡れ性の違いから下地と上刷りインキとの間で密着不良となりやすい。 インキ選択ミス ①下地アンカーや白インキと同タイプ又は密着性能の近いタイプを上刷りに使用する。
208 密着不良
印刷不良
(転移)
オフセット 両面印刷時において、先刷りのハクリOPニスを使用した場合、上がり面印刷時にインキの転移不良や密着不良が発生した。 ハクリOPニス中の滑剤が反対面にマイグレーションしたためにインキの転移、密着性を阻害することがあるため。一種のケミカルゴースト。 ニス選定ミス
硬化不良
①通常OPニスを使用する。②ハクリOPニス使用する場合は印刷順、絵柄を考慮する。③印刷物不良(ゴースト)の項(№505)を参照。
209 密着不良
(耐水密着)
全システム 印刷物自体の密着性は良好であったが、水が被る場所や冷蔵保存される場所、レトルト用途などの状況下で印刷物が使用された場合に密着性が低下した。また、水だけでなく、その他の溶媒、溶液でも発生することがある。事例) 1.合成紙に印刷、屋外掲示中に雨水によりインキが脱落。 2.冷食用カップに印刷、冷蔵庫(冷凍庫)保管中にインキ剥れが発生。 3.印刷物をレトルト加工した際にインキが脱落。 密着していたインキ-原反間に水(液体)が毛細管現象で浸透したことで、インキ皮膜を原反より浮かせてしまい密着性を低下させるため。 事前確認不足
インキ選択ミス
①必ず印刷物の使用状況を踏まえた上でインキ及び原反選択を実施すること。耐水密着の場合、必ずしも密着性が良いインキが良好とは限らないために注意が必要。②コロナ放電等を過剰処理しても問題となることがあるため、適切な処理を実施する。
pagetop